人工衛星やロケットなどの宇宙航空分野では、低消費電力とリアルタイム性などが評価されているTRON仕様のリアルタイムOS(RTOS)が多く利用され、小惑星探査機「はやぶさ」と同探査機に搭載された探査ロボット(ミネルバ)、「はやぶさ2」、惑星分光観測衛星「ひさき」、衛星打ち上げロケット「イプシロン」に活用されました。

更に、UNLはJAXAと共同で次世代高信頼性RTOSであるT-Kernel 2.0 AeroSpace (T2AS)を開発し、2013年に発表しました。T2ASは、TRONプロジェクトで開発されたT-Kernel 2.0 をベースに開発したRTOSであり、既存のTRONのソフトウェア資源を多数利用することが可能です。

T2ASは宇宙航空向けに次の主要な3つの機能を備えています。

  • 安全性の向上、メモリ容量の削減のため、使用しないOSの機能(API)をユーザが任意に削除し再構成する機能
  • 処理速度に影響しないメモリ保護機能
  • 物理タイマ機能による高精度の時間管理

T2ASはJAXAで2016年に打ち上げられたジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)に採用された他、交通、医療機器、FAなどの分野での応用が期待されています。

当研究所は、T2ASの検証・開発プロセスの観点から信頼性を確保するため「T2AS 高信頼適用ハンドブック」を作成しました。同ハンドブックは、トロンフォーラムの会員サイトで公開しています。

ジオスペース探査衛星「あらせ」(ERG)CG
©️ JAXA