世界へのIoT技術の広い普及の実現には、無線通信技術における電力消費が課題となります。

通常、電池や環境発電で動くセンサデバイスなどをIoTネットワークに接続するためには 、Wi-Fiよりも省電力な通信技術が求められます。

6LoWPANとは、IEEE 802.15.4やBluetooth LEなどの省電力無線通信上でIPv6通信を実現するためのプロトコルです。当研究所の「アグリゲート・コンピューティング」はIoT機器とクラウドとの密接な連携が必要になりますが、6LoWPANはそのために不可欠な技術です。

ケーススタディ:6LoWPAN Protocol Suites

当研究所は、IoT機器向けの標準OS仕様(IEEE Std 2050)であるμT-Kernel 2.0上で利用可能な6LoWPANプロトコルスタックの実装を行っています。ワンチップマイコン上で機器と通信の動作の両方を、12KBのRAMという小さなフットプリントで動作させることが可能です。

また、beacon modeによる間欠通信動作も標準でサポートし、乾電池で1年以上持つセンサデバイスの実現に成功しています。


図1:6LoWPANプロトコルスタック
図2:ビーコンモードによる省電力間欠通信

現在、6LoWPANネットワークとインターネットとの間の橋渡しを行う「6LoWPANボーダールータ」の開発も行っており、TLS/SSLトンネリングを含めた高セキュリティなアグリゲート・コンピューティングのインフラ構築を進めています。


図3:ボーダールータによる6LoWPANネットワークとインターネットとの結合