アグリゲートコンピューティング(Aggregate Computing)とは、TRONプロジェクトが提唱したコンセプトで、ネットワークに接続されたあらゆる機器やサービス、システムを総動員して、最適な環境を実現するという概念です。住空間の空調の最適化を例に挙げると、エアコンだけではなく、窓や換気口、ガスレンジ、温湿度センサーなど、屋内の空気の状態に何らかの形で関連する機器をメーカーの枠を越えて連動させて、より全体最適に近い環境を実現します。

このような環境を実現させる一方で、機能の利用に関するガバナンスにも注意を払う必要があります。
誰がいつどの機器のどの機能を利用できるかについて、メーカーやサービスベンダが一方的に決めるのではなく、エンドユーザーが主導権を持ってガバナンスを実現すべきであり、さらに状況に応じて柔軟なアクセス制御が必要です。

しかし、このような複雑なアクセス制御を個々の機器で行うとすると、機器自体に求められる小型化や低コスト化や省電力化が極めて困難です。そこで、本来の機器の基本機能以外の付加的な高度な機能─アクセス制御も含むこれらの機能をクラウド側に任せれば、機器自体を小型化でき、低コスト化や省電力化も実現できます。このように、各種のデバイスやサービスを組み合わせ、全体として最適なIoT のためのシステムを実現する考え方がアグリゲートコンピューティングです。

当研究所では現在、このアグリゲートコンピューティングを実現するためのプラットフォームについて研究・開発に取り組んでいます。


IoT-Aggregating ModelによるIoT